1.犬猫にグレインフリーのフードを与えるメリット
グレインフリーのフードには、穀物が一切含まれていません。その代わり、肉や魚、野菜などの高品質なタンパク源が主原料となっています。このような特徴から、以下のようなメリットがあると言われています。
- ●アレルギーリスクが低い
穀物には、犬猫にとってアレルゲンとなる可能性のある成分が含まれています。グレインフリーなら、そういった心配がありません。 - ●消化が良い
穀物由来の食物繊維は、犬猫の消化器官にはなじみにくい成分です。グレインフリーなら消化に優れ、理想的な糞便状態を保ちやすくなります。 - ●肥満予防に適している
穀物は糖質が多く含まれるため、カロリーが高くなりがちです。グレインフリーフードは低カロリーなので肥満の心配が少ないです。 - ●アレルギー体質の改善が期待できる
アレルギーの原因となり得る穀物を排除することで、徐々にアレルギー反応が和らぐ可能性があります。
以上のようなメリットから、近年グレインフリーのフードが注目を集めています。ただし一方で、値段が高めであること、カロリー・栄養バランスを誤るとかえって健康を損なう恐れもあることから、与え方には注意が必要です。
2.グレインとグルテンの違い
グレインとグルテンは、しばしば混同されがちな言葉ですが、全く異なる意味を持っています。
グレイン(Grain)
- 穀物全般を指す言葉です。
- 小麦、米、ライ麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ、キビなどが該当します。
グルテン(Gluten)
- 小麦や大麦などの一部の穀物に含まれるタンパク質の総称を指します。
- つまり、グルテンはグレインに含まれる一種の成分なのです。
グルテンは生地をねばり気持ち良く仕上げる働きがあるため、パン生地や麺類に多く用いられてきました。しかしその反面、人間だけでなく犬猫にもアレルギー反応を引き起こす要因となることが判明しています。
グレインフリーフードは、グレイン(穀物)そのものを除去しているため、同時にグルテンの摂取リスクも回避できるわけです。ただし、米のようにグルテンを含まない穀物もあるため、単にグルテンを避けたいだけならば、そうした穀物を選ぶ方が良いでしょう。
3.ペットアレルギーとグレインの関係
犬や猫が示すアレルギー症状と、食事に含まれるグレインには密接な関係があることがわかってきました。主なアレルギー症状とその原因について解説します。
○皮膚症状
かゆみ、湿疹、脱毛など、皮膚に関する症状が最も典型的なアレルギー反応です。その原因は、食事に含まれるグレインの成分が刺激になっていると考えられています。
○消化器症状
下痢、嘔吐、腸内環境の悪化など、消化器系の症状も見られます。これも原料の穀物が消化不良を引き起こしているためです。
○目の症状
目のかゆみ、目やにの増加、まぶたの腫れなどの症状も、アレルギー反応に起因するものと指摘されています。
このようにさまざまな症状が出るのは、グレインに含まれる以下のような成分が影響していると考えられています。
成分名 | 説明 |
---|---|
グルテン | 小麦や大麦に含まれる、主要なアレルゲン成分です。 |
プロテアーゼインヒビター | タンパク質の消化を阻害し、腸管の傷つきを引き起こします。 |
レクチン | 細胞に害を与える作用があり、炎症を引き起こします。 |
フィチン酸 | カルシウムやミネラルの吸収を阻害する働きがあります。 |
つまり、グレインフリーのフードを選ぶことで、これらの有害成分の摂取を最小限に抑え、アレルギー症状の緩和につなげられるわけです。
4.ペットのグレインフリーフードの選び方
グレインフリーフードの製品は年々増えてきていますが、安全性や栄養バランスの面で、注意が必要な点もあります。選び方のポイントをお伝えします。
- ●原料にグレインが一切含まれていないか確認する
中には「グレインフリー」と銘打ちながら、実は米や大麦などの穀物が含まれているものもあるので注意が必要です。 - ●主原料が高たんぱく質のものを選ぶ
牛肉、鶏肉、魚肉などの動物性たんぱく質が主原料となっているものがよいでしょう。 - ●新鮮で安全な原料が使われているかをチェックする
できるだけ生の状態に近い、新鮮で安全性が高い原材料を使った製品がおすすめです。 - ●栄養バランスを確認する
カロリーや各種栄養素のバランスがペットに適切であるかをラベルで確かめましょう。 - ●アレルギー物質が混入していないか確認する
原材料だけでなく、製造工程での交差汚染にも注意が必要です。 - ●獣医師や専門家のアドバイスを参考にする
信頼できる専門家の助言を参考にして、ペットに合った製品を選ぶことが賢明です。
グレインフリーフードは医療費の節約にもつながりますが、上記の点を押さえた上で、愛犬愛猫にとって本当に健康的な製品を選ぶことが何より大切です。
5.まとめ
以上、犬猫の健康とグレインフリーのフードについて解説してきました。アレルギー症状の緩和につながる可能性があること、肥満予防にも適していること、そして消化に優れていることなどのメリットがある一方で、単に「グレインフリー」と銘打たれているだけでは、ペットの健康には必ずしもつながらない点に注意が必要です。
選び方のポイントとしては、以下がありました。
- 原料にグレインが一切含まれていないこと
- 高たんぱく質で新鮮な原材料が使用されていること
- 栄養バランスが適切であること
- アレルギー物質の混入がないこと
最終的には、獣医師や専門家のアドバイスを参考にしながら、愛犬愛猫に本当に合ったグレインフリーのフードを選ぶことが大切となります。
価格が高めであることや、与え方を誤ると健康を損なう恐れもあることから一概に推奨できるものではありませんが、アレルギー症状の改善や健全な消化器官の維持など、メリットもあることは確かです。
ペットの健康状態を見極めながら、それぞれの事情に合わせてグレインフリーフードの導入を検討するのがよいでしょう。愛する家族の一員であり、かけがえのない存在であるペットには、最良のフードを与えたいものです。