犬の肥満は、単にぽっちゃりしているだけではない深刻な問題です。肥満は愛犬の寿命を縮め、糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクを高めてしまいます。しかし、適切な対策を取れば、肥満は十分に予防できる病気なのです。本記事では、犬の肥満の原因から確認方法、そして対策までを獣医師の監修を受けて徹底解説します。愛犬とともに健やかな毎日を過ごすために、ぜひ参考にしてください。
2.犬の肥満の原因と種類
犬の肥満には、大きく分けて3つの原因があります。
(1)過剰な給餌
最も一般的な原因が、与えすぎの餌です。犬に必要以上のカロリーを与えてしまうと、余分なカロリーが体内に蓄積され肥満につながります。特に、おやつを多く与えすぎたり、カロリー計算を怠ったりすると、気づかぬうちに過剰給餌になりがちです。
(2)運動不足
犬は基本的にエネルギーを消費する動物です。活発に動き回れる環境が与えられないと、体内に取り込んだカロリーを消費できなくなり、肥満の原因となります。室内飼いの小型犬は特に運動不足に注意が必要です。
(3)体質や病気
先天的な体質や、甲状腺機能の低下、肥満細胞症などの病気が原因で、食事量や運動量が通常でも肥満につながるケースがあります。
このように、原因は様々ですが、大半は飼い主の管理が不十分だったことに起因しています。
3.犬の肥満の確認の仕方
犬の肥満を見抜くコツは、主に2つあります。
(1)体型で確認する
まず第一に、全身の体型や形状から肥満度を確認します。特に以下の部分に注目しましょう。
- 腹部の膨らみ
- 肋骨の浮き出がり具合
- 腰周りの肉付き
具体的には、上から見て腹部が膨らんでいたり、横から見て腹部と胸部の境目がくびれていなかったりすると、肥満が疑われます。また、肋骨が浮いて確認できない場合も要注意です。
(2)体重管理計算表で確認する
犬の種類や年齢、性別から、理想的な体重を計算し、実測体重と比較することで肥満度を判断できます。獣医師発行の体重管理計算表を利用するのが一般的です。
下表は、ラブラドール・レトリバーの体重目安の一例です。
年齢 | 体重(kg) |
---|---|
1歳未満 | 15-25 |
1歳 | 25-30 |
2歳 | 25-34 |
3歳以上 | 29-36 |
実測値が目安の上限を大きく超えていた場合は、肥満が強く疑われます。ただし、個体差もあるので、必ず獣医師に相談しましょう。
4.犬の肥満の予防と対策方法
早期発見と毎日の管理が重要です。以下の予防法と対策を意識しましょう。
【予防法】
- 適正な餌の量を守る
目安は、体重の5%程度。種類や年齢に合わせた餌の分量を守るようにしましょう。 - おやつの与え過ぎに注意する
おやつの内訳もカロリー計算に含める必要があります。脂肪分が高いスナックは避けましょう。 - 運動量を確保する
毎日の散歩やマリンスポーツ、手作りアジリティなどで運動機会を作ります。 - 定期的な体重チェック
可能なら毎週、最低でも月1回は体重を測り、増減をチェックしましょう。
【対策法】
- カロリーコントロール
一時的に給餌量を減らし、体重の減量に取り組みます。目標値は理想体重の85%程度が目安。 - 運動量アップ
散歩の時間を長くしたり、ランニングやスイミングなど汗をかく運動を意識的に取り入れましょう。 - 低カロリー食を選ぶ
低カロリー・低脂肪のドッグフードや缶詰、手作りご飯に切り替えるのも一案です。 - サプリメントを利用
食欲や基礎代謝を下げるサプリも販売されています。獣医師に相談しながら検討しましょう。 - 専門の肥満ケア病院を利用
手に負えないケースでは、専門の獣医療機関で集中的なカウンセリングや治療を受けることをおすすめします。
体重コントロールは地道ですが、犬の健康寿命を延ばすために非常に大切なことです。あきらめずに継続することが何より重要です。
一方で、無理な食事制限や過剰な運動は体力的にも精神的にも大きな負担となり、かえって健康を損ねる可能性もあります。必ず獣医師の指導の下、愛犬の年齢や体調に合わせて、ていねいに対策を立ててあげましょう。
【注意すべきポイント】
- 急激な体重減少は避ける
1〜2か月で体重の5%程度を目安に、ゆっくりと減量させることが無難です。 - 完全な絶食はNG
絶食はビタミン・ミネラル不足を招き、かえって健康を損ねる恐れがあります。 - 運動は無理のない範囲で
関節への負担が大きすぎると、かえって障害を引き起こす可能性があります。 - ストレスにも配慮
食べる楽しみを極端に制限したり、愛犬を追い込みすぎると心の健康を損なう恐れも。
愛情を持って、焦らず、地道に取り組むことが、最良の肥満対策につながります。
5. まとめ
犬の肥満は、さまざまな健康被害を引き起こす深刻な問題ですが、飼い主さんの適切な対策次第では十分に予防可能です。
原因は、大半が過剰な給餌や運動不足など、飼い主側の管理不足に起因しています。まずは、犬の体型チェックや体重測定を怠らず、肥満度を確認することが重要です。
そして、予防法として、餌の分量・カロリー管理、おやつの与え過ぎ注意、運動機会の確保、定期的な体重チェックなどを実践しましょう。
一方で、肥満が進行している場合は、カロリーコントロール、運動量アップ、低カロリー食や肥満ケア病院の利用なども検討する必要があります。
ただし、無理な食事制限や運動は控え、獣医師の指導に基づいて、ゆっくりと愛情を持って対策を立てることが何より大切です。焦らず、継続することで、必ず健康で長生きできる愛犬に育ててあげられるはずです。
この記事を参考に、一緒に肥満対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。皆様の愛犬が健やかでいられることを心より願っています。